2013.12.7. ゴスペラーズ@東京国際フォーラム

アルバム『ハモ騒動』を携えてのツアー。

『ハモ騒動』は、彼らにとって初めてのカバー・アルバムであるわけだが、「Gentle music magazine」vol.15で紹介したロング・インタビューでも語られている通り、その試みは彼ら自身の音楽的な氏素性を自ら確認する作業でもあったようだ。で、そのアルバムをフィーチャーしたこのツアーのステージはヒストリカルな内容で、それに沿って彼ら自身のキャリアも振り返る場面が折り込まれている。最後のMCで村上てつやが、今回は自分たちがどれくらい音楽が好きかということを問われるツアーでもあると思うという主旨のことを話していたけれども、そういう意識を自らに差し向ける冷静さこそが彼らをここまでの人気グループにしたとも言えるだろう。そして、このあらためての自分たちに差し向ける視線は、デビュー20周年を迎える来年の活動をより肉厚なものにするはず、と思わせた。この日のステージ自体は、彼らにとっておそらく100点万点というわけではなかったと思うが、しかしエンターテイメント・ショーとしての濃度は十分過ぎるほどで、満員のオーディエンスが堪能したことは間違いない。