2013.9.22. 藤井フミヤ@パシフィコ横浜

デビュー30周年ツアー、その2日目のステージである。

デビュー記念日である昨日・9月21日に同じパシフィコ横浜から始まったこのツアーは、30周年ツアーのvol.1ということで、“青春”というタイトルが付けられている。なぜそういうタイトルが付けられたのかはセット・リストを見れば一目瞭然で、彼のキャリアの最初の10年、つまりチェッカーズ時代の曲を中心に据えたラインナップになっている。それは、この日会場を埋めたファンの青春を彩った曲たちでもあるだろう。となれば、ライブは自然とノスタルジックな空気に包まれるものだし、実際オーディエンスの多くはノスタルジックな思いに耽る場面も多かっただろう。が、フミヤ自身のパフォーマンスは、懐かしさを連れてくるだけのものではなく、むしろここのところの彼のツアーが常にテーマにしている「シンガーとして魅力を押し出した大人のエンターテイメント・ショー」の藤井フミヤVERSION確立への重要なヒントをはらんでいるように思われた。すなわち、リズム&ブルースやロカビリーをベースにしながら当時の歌謡曲的味付けで聴かせた初期のチェッカーズ音楽からピックップされた曲たちをオンなアレンジと腕利きミュージシャンによる演奏で聴かせると、それはずいぶんとAORな味わいを持っているからだ。言い換えれば、大人のシンガーとして彼のレパートリーをより豊かにするのは、メロディックなバラードやフォーキーな味わいのナンバーではなく、ミディアム・テンポのロッカバラードやR&Bフレイバーの強いグルーヴィー・チューンだろうということをあらためて感じたのだった。

ところで、アンコールのMCで明らかになった武道館での解散公演から紅白歌合戦までの流れについての記憶違いは、当時の彼らがどれだけ混乱の中にあったかを思わせて印象的だった。フミヤの言葉を借りれば「勝手に解散した」ということになるわけだが、ある意味では潔いその解散の顛末が「TRUE LOVE」を生み出したとも言えるし、藤井フミヤという人の男気のようなものも感じさせる。来年行われるvol.2はソロになってからの20年をたどる内容になるようだ。ここでも、ノスタルジックに泣かせて、同時に未来を感じさせてくれるステージをきっと披露してくれるはずだ。