2013.7.17. 黒沢健一@赤坂BLITZ

 アルバム『BANDING TOGETHER in Dreams』をフィーチャーした全国ツアー、その最終日のステージである。

 黒沢にとってはバンドでのツアーは4年ぶりということもあってか、このツアーでは録音フリー、撮影フリーがあらかじめアナウンスされていたわけだが、当然のようにオーディエンスのほとんどはそれぞれにカメラやレコーダーを掲げてステージに向き合うことになった。冒頭のMCで黒沢が「自由に録ったり撮ったりしてくれればいいんだけど、でもずっとそうしてないでたまには体を揺らしてたりもしてね」と話していたけれど、実際のところ、2階から客席を見ていると、録ったり撮ったりに一生懸命でライブを十分に楽しめているのかな?という感じの人もいて、他人事ながらちょっと心配になった。おそらくは録音フリー、撮影フリーというライブも今後は増えていくと思うけれど、そういうステージに臨むオーディエンスのリテラシーはまだその状況に追いついていないのかもしれない。

 それはともかく、この日のステージはもちろんアルバム『BANDING TOGETHER in Dreams』からの曲を中心に構成されていたわけだが、加えて事前にwebで募ったリクエストに応える形で黒沢のレパートリーのなかからかなりマニアックな選曲のナンバーもピックアップされ、彼の音楽の最新版とコアな部分が並列に演奏されることであらためて彼の音楽の個性を確認できるステージになった。その個性とは、ひと言で言えば、やはりポップということになるのだろうが、しかしそのベースにはつねに過剰なほどのパッッションが溢れていて、だからこそ時にそのポップの形はかなり入り組んだものになったりもしたわけだ。1回目のアンコールで「Rock’n Roll Band」を演奏し、その最後に「Keep On Rock’n Roll!」と彼が叫んだのは、音楽の形としてのロックンロールをこれからも作り、また演奏していくよという表明に止まらず、その熱いパッションを決して失わないよという宣言であったように思う。

 その一方で、彼自身も大いに楽しみにしていたバンド編成のツアーのファイナルなだけに、アレンジや演奏はかなりやんちゃな感じになっているんだろうなと想像していたが、むしろ個々の楽曲の魅力をしっかりと押し出すような演奏になっていて、それが黒沢本人も含め、バンドがこのツアーを通してたどり着いた地点なのだろうから、それはそのまま彼の音楽の最も重要なポイントが楽曲自体の魅力であることをこれまたあらためて物語っていたように思う。

 

 

 

1. DAY BY DAY

2. Return To Love

3. A Summer Song

4. Many Things

5. Round Wound

6. Easy Romance

7. So What?

8. I’m In Love

9. Morning Sun

10. DREAMS

11. Lay Your Hands

12. スピードを上げていく

13. MAYBE BABY

14. Motion Picture

15. NICE TO MEET YOU

16. KNOCKIN’ ON YOUR DOOR

17. Rock’n Roll

18. ALL I WANT IS YOU

[ENCORE-1]

1. This Song

2. Rock’n Roll Band

[ENCORE-2]

1.Goodbye