すっかり恒例となった年末のグローブ座公演。4回目の今年は、「ひとりアカペラ」というお題でのステージだ。つまり、多重録音した自身の声をバックに歌を聴かせるというスタイルだが、そこでアカペラのための新曲を書き下ろしてしまうところがいかにも彼らしいが、毎年その公演でしか体験できない編成とアイデアのライブを披露してきたグローブ座公演の究極の形とも言えるだろう。
もっとも、あらかじめ録音したオケをバックに黒沢が一人で歌うともなると、実際のステージ上はやはりちょっと寂しくなることを配慮して、盟友のピアニスト遠山裕がシンプルなサポートを聴かせたのに加えて、コーラス・パートを歌う黒沢の映像を映し出す5台のモニター、その名も「ALONE TOGETHERS」が彩りを添えた。
さらには、そのアカペラのオケ・トラックの制作と並行して続けられたというニュー・アルバムに収められる予定の新曲も数曲披露。遠山と二人だけでの演奏なのでアレンジと呼べるような味付けはほとんどなかったが、だからこそ黒沢が書くメロディーラインの魅力をあらためて実感できたと同時にニュー・アルバムのリリースが待ち遠しく感じられた。
アンコールでは、そのアルバムのリリースとそれに伴うツアー開催が力強く発表され、今年の成果をしっかり伝えるとともに来年への期待も大いに高まるステージだった。