2011.6.25  甲斐よしひろ@横浜BLITZ

 3年ぶりのソロ・ツアー、その初日のステージである。バンドは、田中一郎(g)、佐藤英二(g)、渡辺等(b)、佐藤強一(ds)という、ツインギター/キーボードレスの編成。「キーワードはロックンロール」というアナウンスがツアー前にあったわけだが、果たして重厚なギターロックの醍醐味を味わえる内容だ。甲斐自身は、随所にサンプリングを使ったアレンジを自虐的に語るようなMCも聞かせていたが、そういう表現が出るのもバンドが聴かせる生身の演奏の揺るぎなさにじつは自信があるからだろう。

 そして、甲斐の言い方をそのまま使えば「急にやりたくなった」曲がたくさん披露されたわけだが、つまりこれまであまりというか、ほとんど演奏されていない曲が含まれていることも今回のツアーの大きな聴きどころのひとつと言えるだろうし、この日からライブ会場のみで先行リリースされたニュー・アルバムからの曲もファンには大いに気になるところだろう。この日、そのアルバムから披露されたのは1曲だけだったが、さてその曲数は増えていくだろうか。普段はスタンディング仕様の1階もこの日は椅子席仕様になっていたが、今回のツアーでは完全にライブハウス仕様の会場で行われる講演もあるから、少なくともそこではセット・リストに変更が加えられるはずだ。

 また、終演後に甲斐と話したところでは、この会場は客席の反応がほとんど聴こえないそうで、だからは甲斐はライブ中ずっと”反応が鈍いなあ”と思っていたそうだ。ということは、客席の反応がもっとダイレクトにステージに跳ね返る会場なら演奏はもっと弾けることになるのだろうか。

 ちなみに、今回のオープニングSEは「パワー・トゥ・ザ・ピープル」。”震災後のツアー”という意識が底流にあることもおそらくは重要なポイントだろう。