2011.2.22 the pillows@渋谷O-EAST

 1月にリリースされたアルバム『HORN AGAIN』を携えてのツアー、その3本目である。

 新作は、苦い憂いを含んだ内容だったけれど、それにもかかわらずというか、むしろだからこそと言うべきなのか、この日のステージはスルリとした印象から始まった。20周年のアニバーサリー・イヤーには、風格さえ感じさせるステージを披露していた彼らだが、そのままデーンとした感じに収まっていかないのがthe pillowsというバンドなのだけれど、かと言って若者バンドのようにただ挑みかかるような、あるいは無用に溌剌としているわけでもない。しっかりと年季は感じさせるのだが、シブくなっているわけでもない。かつて、ポップとは年をとらないピーターパン的なイメージをまとっていたところがあったように思うけれど、いい年のとり方をするポップというものの有り様をバンドとして彼らは示しているのかもしれない。

 とりあえず、今回のツアーは去年のツアーとはちょっと流れの違うものであるような気がする。さて、各地をまわって東京に戻ってきたときにはどんなステージなっているだろう? そのステージの変化が、アルバム『HORN AGAIN』に込められたものをいよいよ明らかにしてくれもするだろう。

 じんわりと高まっていくような期待感を抱かせるライブだった。