2010.12.16 the pillows@ZeppTOKYO

 2010年を締めくくる東・阪・名ツアーの最終日。今年最後のワンマンは、ツアー・タイトルにもなっているシングルのリリースはあったものの、「夏フェスでやるような曲はやらないよ」(山中)というマニアックなセット・リストだ。が、マニアックとは要するにアルバム曲や懐かしい曲が散りばめてあるということで、それはバンドの地力というか底力を確認できるライブでもある。

 

ただ、いまさら「the pillowsの底力はやっぱり凄い」と書くのもなんだか間抜けな感じがするし、実際のところ、この日のように中身が濃いと感想は「凄い」なんて言葉だけでは言い尽くせない。例えば山中言うところの「憂鬱な曲」が続いてもポップな枠組みはしっかり押さえながら切ない哀しみが滲み出してくるような感覚はやはりpillowsならではで、そうした楽曲が脂の乗った演奏で展開されるわけである。

帰りの電車を待つ駅のホームで、隣りに立った2人連れのにいちゃんの片方が「<Another Morning>が聴けて良かったなあ」と妙にしみじみつぶやいた感じが印象的で、その言葉にならないものをなんとか言おうとして彼の場合はたまたま「Another Morning」に凝縮したんだろうと勝手に納得してしまった。

 

ところで、アンコールで山中が語った妄想話は、面白可笑しく語られてはいても、なんだか山中さわおという人の業のようなものを感じて、個人的にかなり感慨深かったし、だからこそやっぱりthe pillowsは大丈夫とも思ったのだった。