2010.10.31 布袋寅泰@リキッドルーム

 8月に始まったマンスリー・ライブ・シリーズの3回目。

過去2回はトリオ編成だったそうだが、この日は中村達也(ds)、井上富雄(b)、小島良喜(key)に布袋という4人編成である。

「これまでトリオ編成でやってたけど、小島さんが入ってくれたおかげで、僕がセンターに立てるから、はしゃいじゃってね(笑)」

と布袋はMCで語っていたけれど、もちろん真ん中に立ちたいから4人編成にしたわけではあるまい。

 

そもそもこのマンスリー・シリーズを始めた意図を推測すれば、「このライブではオレのやりたい曲をやるんだから(笑)」と布袋は言うが、つまりは自分のやるべき音楽を再検証/再確認するということはあるだろうと思う。

このところ、新作をリリースする前に敢えてツアーに出るベテラン・アーティストが相次いでいるけれど、それはCDが売れにくい状況、つまりは逆風下にあって、ライブを活動の主軸おいてきたアーティストは自分の音楽やその音楽の聴き手の関係性を見つめ直すことを、他でもないライブの現場でやってみようという試みであるわけだ。そうしたなか、自他ともに認めるライブ・アーティスト、布袋だからこそライブハウスで、間近にオーディエンスをおいて、演奏者のテクニックと発想が自在に交錯するなかで生み出されるものの質を確認したかったんだろうと思う。

そして、来年2月の30周年記念ライブが発表された今となっては、このシリーズがその記念ライブの重要な予告編にもなっていると思われる。

 

 個人的には、このシリーズではとにかくギターを弾きまくるんじゃないかと勝手に想像していて、実際この日も弾きまくっていたが、そのなかにギターをおいてシックに聴かせる「キング&クイーン」のような曲も含まれていたりして、やはりボーカルまで含めたトータルなパフォーマンスのなかで彼の現在の音楽は表現されるということなんだろう。

 

 さて、武道館での記念ライブのバンドがどんな編成で、どういうラインナップになるかを占う意味でも、シリーズの残りのライブには注目である。