2010.10.09 仲井戸麗市@SHIBUYA-AX

「GO!60」と題した全国ツアーのファイナルにして、仲井戸本人のバースデー・ライブである。ステージは、早川岳晴(b)とのデュオ・スタイルだ。

 

「GO!60」とは、60回目の誕生日となるこのファイナルに向かって突き進むということであると同時に、60本のツアーを駆け抜けるという意味でもあり、1月に始まったこのツアーで彼は文字通り全国をまわってきた。なにせ60本、10ヶ月におよぶツアーだから、例えば相棒の早川が事故で骨折して演奏ができなくなってしまったことを筆頭に、いろんなアクシデントがあったと思われるが、早川も常識を超える早さで復活し、見事この日を迎えた。

 

 注目のステージは、「1950、オレは新宿で生まれた」という歌に始まり、野球少年が音楽に目覚めた頃のこと、天井桟敷の公演(「捧ぐ!永山則夫への70行」という公演のようだ)を手伝ったことで刺激されてポエトリー・リーディングを始めたことなど、仲井戸自身の解説付きで、彼の音楽的バイオグラフィーをたどるような内容になった。

となれば、やはりRCに触れないはずもなく、清志郎の思い出を交えながら披露した演奏の素晴らしさは言うまでもないだろう。

 

 もっとも、そういった内容だからと言って、年配の人が自分の誕生日に自分の半生を振り返る際の甘いノスタルジーに流れるはずもなく、それはやはりエッジの効いた、それでいて味わい深いステージだった。

 

そして、このツアーのなかで「無理をしないように」という技をマスターしたと面白おかしく彼は語っていたけれど、確かに彼の音楽は進化/深化していると感じられて、なんともうれしかった。